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Canon FTbの分解と低速シャッター調整

キャノンFTbのメンテナンス方法です。

・基礎知識

・トップカバー分解

・シャッターダイヤル調整

・露出計調整

・低速シャッター不良の改善を行います。

※体験教室用のまとめ記事です。修理依頼を頂いた場合と異なり精度より簡単を優先してます。

ちなみにこちらはFTb-Nです。タイマーの形で見分けます。

◆基礎知識

故障と間違えそうな症状まとめて見ました。

・レンズの絞りを動かしても、ファインダー内の◯が動かない!

キャノン FLレンズを使用すると、ファインダー内の絞りと連動した追針は動きません。

・レンズがつかない!

安心してください、きっとレンズの絞りがAになっているでしょう。

FDレンズの絞りがAに合わせてあるとレンズ装着できません。また、装着した後Aの位置に移動させることもできません。

◆トップカバーの分解

分解前にシャッター速度を1/1000、ASAを25にします。

また、露出計をOFFにします。

シャッターダイヤルは、内部金具の回転防止、露出計カバーを戻すときに端子を曲げてしまうのを防ぐためです。

はじめに巻き上げレバーを外します。

巻き上げのカバーは正ネジ

その下の銀の押えが逆ネジなので注意です。

といっても、今回の個体には逆ネジはありませんでした。時代が下ると、この押さえは廃止になったようです。
カバーを取った後は、上に引き抜いて行くだけです。

◆巻き上げ別バージョン

押さえ金具があるバージョンです。

巻き上げのカバーをとると、一見とっかかりがありません。

実はカバーになっているので、細いマイナスネジでめくって外します。

イモネジを2つがあるので緩めます。(ないタイプもあります)

その後金具を回しますが、逆ネジなので注意してください。

▼以降分解再開
先の丸いペンチで、シャッターダイヤルのカバーを外します。

なめないように、しっかり押しながら、少しだけ動かす感覚で!

シャッターダイヤルを外しました。

この時、速度1000、ASA25だとダイヤル下の金具が動きません。

他の位置で外すと回ってしまい位置を見失います。

シャッターダイヤル裏の突起が、左上の赤い印がついた溝に入るように組み上げます。

巻き戻しクランクを外し、電池蓋も外します。

背面のネジ2本、側面のネジ1本を外します。

前面のネジを抜きトップカバー外します。(このネジは頭が平たいネジです。他のネジとは混ぜないで下さい。)

配線が繋がっているので、そっと引き上げて下さい。

カバーを外すとレリーズ下の棒が落ちてしまいます。

回収して元の位置に刺しておいてください。

※わかりやすいように少し棒を出してます。

この棒は取り外しできずに一体化しているものもあります。

カバーが外れたので、プリズムを取り外します。

押え金具のネジを外し、金具とカバー→プリズムと順に引き上げていきます。

劣化したモルトがくっついているので、完全に除去します。

※この作業をサボるとすぐにカスがスクリーンに落ちます。

モルトの貼ってあった部分には代替でテープを貼っておきます。

プリズムを外すと、スペーサーの紙も取れてきます。

紙が外れるときに、上のねじりスプリングの先を巻き込んで外してしまうことがあるので注意です。

スクリーン上の薄い金属枠まで外したら、清掃を行います。

なお、速度1/1000 ASA100の時は、シャッターダイヤル下の金具の赤い印が真正面を向き、画像赤丸内の穴2つと下のマイナスネジが直線上に並びます。

一直線になった状態です。

直線上に並んでいない場合は、ずれているので位置を調整してください。

左の四角に囲った部分は、上がバッテリーチェック、下が露出計の端子です。黒ずんだり緑青が吹いている時はアルコール等で清掃して下さい。

露出計をONにした状態でトップカバーを戻すと、下の露出計の端子に干渉して曲げてしまうことがあります。

◆露出計の調整

右側の抵抗端子が露出計の針の角度を決めています。

振れが弱い場合は、反時計周りに動かすと、針が上に移動します。

◆組み上げ

スクリーンを清掃した後に、プリズムを元の位置に戻します。

その際、スペーサーの紙の片方は貼付けてしまった方が作業早いです。

スクリーン上の金属枠を戻す→紙の片方を元の位置に貼る→プリズム戻す→プリズムを側面に押し付けつつもう片方の紙を竹串の背を使って押し込むの手順です

若干浮いてますが紙を戻しました。

両方の紙を貼り付けてから作業するとプリズムが戻りきらずうまくいきません。

プリズムを抑える金属とカバーを戻します。

なお、前述しましたがモルトはすべて除去してあります。

シャッターレリーズボタンの下の棒が抜け落ちないように、トップカバーを上から被せるのではなく横にしてボディとはめ合わせます。

完全にはめる前に表向きにし、コードの介錯とトップカバーがエプロン部と正しく組みあうか確認しながら閉じます。

バラすときに確認した、シャッターダイヤル下の突起を、もとにあった位置に組み込みます。

千枚通しなどで下の金属を微調整しつつはめて下さい。

◆低速シャッターの不具合改善

スローガバナーの動きが悪くなると、低速シャッター時に、ミラーアップや幕が途中で止まったりと影響がでます。

ミラー室下のスキマから揮発性の溶剤で洗浄して下さい。この際、溶剤が外部へ流れ出るように底板は外しておきます。

症状が治るまで洗浄したら、最後に潤滑油を注し終了です。

ダメな例としては、洗浄しないで潤滑油を入れてしまうことです。

これだと、内部の汚れが取りきれず改善しづらくなります。

 

以上Canon FTbのメンテンナンス方法でした。